第7期(2019-2020年度) 会長のメッセージ

第7期会長就任にあたって

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第7期の会長を拝命しております深柄(ふかつ)です。

本学会の会員としては希少な外科医ですが、不思議なめぐりあわせで深く関わるようになりました。私が医師になりたてのころは、重症患者・消化器外科手術患者というと必ずと言っていいほど、中心静脈カテーテルを留置し、完全静脈栄養管理を行っていました。毎日の輸液指示書を作成する中で、糖質〇g、アミノ酸〇g、電解質〇mEqと計算し、患者さんに適切な栄養が投与されるよう工夫していたのを覚えています。思えば、それが、私がアミノ酸を深く認識するようになった第一歩でした。

消化管を使えない患者さんに適切な静脈栄養管理を行えなければ、進行性の栄養不良が生じ、いずれ命を失うことになります。昔は、今のような優れた自動吻合機はなく、外科手術における消化管吻合後の縫合不全発症率は10%ほどあり、合併症の治療に頭を悩ませることもしばしばでした。この苦境を乗り切る力を与えてくれた静脈栄養、その主成分の一つであるアミノ酸には、足を向けて眠れません。

以前から肝不全による脳症の治療にBCAAが有効であることは、臨床の現場で知られていましたが、私が外科研究に携わってきたこの二十数年は、まさにアミノ酸にスポットライトが当たり続けてきた時代と言えましょう。いろいろなアミノ酸に特殊な機能があり、それを応用することでさまざまな病態の治療に役立てることがわかってきました。近年は診断に利用されるようにもなりました。私自身の研究テーマ、指導した学生の博士論文テーマとしても、いろいろなアミノ酸にお世話になってきました。

昨年度は本学会の10周年目でしたが、10周年記念大会(市民公開講座併催)の開催、新ロゴの設定、学会誌デザインの刷新、学会誌10周年記念誌の発行、英文書籍の出版など、本学会のランドマークに相応しい事業を実施することができました。
これは本学会役員をはじめ、多くの皆様の努力の賜と言えます。さらに10年の節目にアミノ酸を紹介するポスターを作成し、7000を超える学校等に配布しました。若い人の目を引きやすい工夫がなされたポスターとなっています。以下からダウンロードできますので、ご活用下さい。
アミノ酸学会 ポスター

そういうわけで、臨床の現場でも研究においても深く関わってきたアミノ酸に、本学会の会長として少しでも恩返しをする場を与えてくださった、学会員・評議員・役員の皆さまに感謝しております。この学会を通して、多くの画期的な学術的進歩が生まれ、多くの人生を豊かにする人と人との出会いが生まれ、幸せな社会を創る手助けできるよう、乏しい才ではありますが絞り出せればと思っております。

日本アミノ酸学会会長
深柄 和彦

歴代会長のメッセージ

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